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第40話「干支とペット」
私は干支には興味がない。自分の誕生年がいぬ年であることを漠然と知っている程度だ。いぬ年生まれだから犬好きだったと思っていたのだが、犬年と書くのではないと知り自分の無知にあきれた。
正月の年賀状を読み、今年は巳年で、蛇の年である事を初めて知った。それにしても、大蛇を体に巻き付けたり、触ったりして“可愛い”、という子供達がいるのをテレビで見て驚いた。
 
更に、蛇をペットにしている人が多い事も知った。私自身は、蛇の体型、冷たそうな皮(肌?)を見ると、ペットにする気にならない。
だが、医学的見地から考えると、アレルギー体質の方には、毛長の動物(犬、猫、鳥等)よりも、蛇の方がペットに適しているだろう。
然し、毒蛇もペットとして売られていると聞き耳を疑った。しかも自分で飼っている毒蛇に嚙まれて、命を落としそうになった人がいたという。毒蛇の売り手、買い手共に理解の外だ。
さて、毒蛇は論外として飼い猫、飼い犬による危険も皆無ではない。
 
最近の事だが、慶応医学部の同級生が、自分の家で飼っているネコに引っかかれ、ネコ引っかき病で慶応病院に入院し、暫く車椅子の生活を余儀なくされたという。飼い猫も油断出来ない。
又、私の患者さん(中年の女性)が指に包帯を巻いているので、理由を伺ったら、知人の家のチワワを撫でたら噛みつかれ、外科医の治療を受け縫合したという。うっかり犬に手を出すのも危険だ。絶対に知らない犬を触ってはいけないと、子供の頃、親に言われたことを思い出した。
又、ある知人が、ペットの仔猫を抱いて散歩中に、リードをつけていなかった大型犬に飛びつかれ、仔猫は嚙まれて即死。仔猫が自分の身代わりになってくれたと涙を流していた。犬は仔猫のみを襲ったと思うのだが、彼の愛猫への心情を考え私は沈黙を守った。


今回の院長余話は、干支から書き始めているので、先月(1月号)に載せるべきであったが、プリンのお正月を優先してしまった。
今年も、又、私の生活の優先順位トップの座をプリンに占められそうだ。

          2013年2月1日
 矢野耳鼻咽喉科院長  医学博士 矢野 潮