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第41話「プリン姫」
 12年ほど前の11月、大きな波紋が我が家に起きた。
当時、大学病院の勤務のために、東京のアパート住まいをしていた次女と私達夫婦3人、久しぶりに横浜で食事をした。食後急に表情、語調を改めて次女が重大な発言をした。
「お姉様の誕生日に私が犬をプレゼントします。誕生日にあわせて犬が届きます。まさか私のプレゼントを送り返すような事はしないでしょうね。お姉様もこの事は知っています。」
第25回に書いたように、私たち夫婦は犬好きではあるが、二代目チョコの事で、犬を飼うのは止めようと日頃から話しあっていた。然し、娘二人は秘密裏に犬を飼うことを決めていたのだ。
「娘二人の共同作戦だ」、私は反論できなかった。
甘い親と言われるかも知らないが、私の希望通りに耳鼻科医になった娘には強い事が言えなくなっていた。しかも娘二人が完全に結託している。私は破北を認めた。帰宅後、長女に問いただすと、「私が妹に言わせました。犬の種類まで決まっています。反対はなさらないでしょうね。」
犬が来ることに決まった日曜日、私は犬を見るのが嫌で、わざと用を作り外出し夜遅く帰宅した。居間のゲージの中にいるワンコをこわごわと見た。犬と目があった瞬間、私の体に電流が走り、その後の私の生活は一変した。これほど可愛い生き物があるだろうか。
犬種はパピヨンの雌、名をプリンと名付けた。
プリンの私へのなつきかた(私がプリンになついたと表現した方が正確かもしれない)は、文章に書くよりも写真の方が正確に表現できると思うので、院長室における光景をのせる。
 
私とゆかり副院長がクリニックで診療中は、プリンは院長室のゲ-ジの中で寂しそうにしている。
私はプリンが可愛そうでたまらなくなり、遊び友達としてもう一匹の犬を飼った。プードル・名はサフィ-。我が家のワンコは2匹になった。
 
その後、プリンが将来、乳癌、子宮癌になる危険度を減らすために子供を産ませた。雄はピピン、雌はアニスと名付けた。
計4匹の大所帯になった。
 
 ピピン  プリン アニス  サフィ- 
 プリンは今の私にとっては単なる愛犬ではなく宝物になった。
現実にプリン当人(?)は、女王のような態度で我が家に君臨している。
最後にプリン姫をご紹介して今回の院長余話を終わる。

 
 上に挙げている左後ろ脚にご注目
女王の貫禄

          2013年3月1日
 矢野耳鼻咽喉科院長  医学博士 矢野 潮