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第47話「開業医の喜び」
 個人で開業すると、大学病院や総合病院のような高度の最新医療を行う事はできない。そのため、「この患者さんの命を助けた!」、と言うような大きな喜びに遭遇することは少ない。
然し、開業医には勤務医時代には味わうことのできない開業医独自の喜びがある。
大勢の医師がグループで診察する勤務医時代と違い、患者さん一人一人に「自分の患者さん」、という意識が強くはたらくためだろう。
開業医独自の喜びを表現するのには、私を心から頼りにして現在通院して下さっている患者さんの事、私の記憶に強く残っている患者さんの想い出のことを述べるのが良いだろう。
まだ小学生なのに成人したら私と結婚すると決めている可愛いお嬢さん、そのお母さんも私の大ファンで週に2回は私に会わないと気がすまないと現在通院中。開業医冥利につきる話だ。
そのお嬢さんからのプレゼント 
 結婚といえば、20年程前、一人の若い女性の患者さんが、診察を受けるためではなく私を訪ねてみえた。彼女の訪問の理由は、結婚のために外国に行ってしまうのでもう私に会うことはないだろう。その話を私にするのが目的だった。「長らくお世話になりました。そのお礼に伺いました。先生もお達者でお過ごし下さい。」私はその瞬間、花嫁の父になったような気がした。
ご自宅の隣に耳鼻科のクリニックが出来たのに、電車に乗ってわざわざ私のところに通院している慢性疾患の患者さん、98才のご高齢にもかかわらず定期的に来院して、毎回握手してくださる患者さんも生涯忘れる事はできないだろう。
 5才の別のお嬢さんからは私の似顔絵を頂いた。本当に可愛い。
 私の似顔絵(おみみのせんせい)
 最近結婚し、東京(勝鬨橋)の近くに新居を構えた幼児期からの女性の患者さんも、その方のメモリ-の中には、私の事が強くインプットされているとのこと、嬉しい話だ。
患者さんに好かれ当てにされる事が、何にもまさる開業医の喜びだ。


この余話を読んで下さった患者さんから次の絵を頂いた。そのうちにお子様の絵画展になる事を期待する。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
いただいた蜜柑狩りの美味しい蜜柑
 

 
可愛い患者さんから頂いた可愛い蜜柑
 
可愛い5才のお嬢さんからの美味しい蜜柑のプレゼント 
 
          2013年9月1日
 矢野耳鼻咽喉科院長  医学博士 矢野 潮