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第66話「花粉症
 
飛散する杉花粉


 新漢字辞典:花粉疎開
杉花粉飛散期に、沖縄県、北海道に滞在する事。



 今年は、杉花粉の飛散量が昨年の約三倍だという。杉花粉症の患者さんにとっては、辛い春の到来だ。私自身も今年、軽症だが杉花粉を発病したらしい。外出すると鼻と目がぐずぐずする。患者さんのつらさがわかった。
杉花粉症という概念を初めて提唱したのは、1963年に斉藤洋三教授(東京医科大学)だ。春、鼻目に集中しておこるアレルギー症状に着目し、研究の結果、解明されたという。花粉症は、カモガヤ、ブタクサ等によってもおこるが、杉花粉症がその80%をしめる。又、日本人の約30%が杉花粉症を発症している。まさに国民病だ。
花粉症の初発は、以前は30才前後に多いといわれていたが、今では、初発年齢層の幅が広がり、乳幼児から、80才以上の高齢者に迄、及ぶという。
海外旅行から帰国した人が、成田について、飛行機のドアが開かれた途端にくしゃみ発作がおこるのは有名だ。
先日、沖縄の大学を卒業して、就活に成功し、藤沢に戻ってきた患者さんが、花粉症を数年ぶりにぶりかえし、沖縄で就職すれば良かったと嘆いていた。私は、近々今より良い治療が行われるからとなぐさめた。
今は、内服薬、点鼻薬、点眼薬による治療が主流をしめている。



又、レーザー治療も有効だが、花粉症が発症する2ヶ月ほど前に施行する必用がある。私のホーム頁の病気の項を参照して頂きたい。最近話題の口腔内減感作療法については来院の上、ご相談頂きたい。
猿にも花粉症があることは、以前から知られていたが、犬にも花粉症があるという。犬が花粉症にかかると、毛が抜けるとのことだが、春の暖かさ故に、犬の毛が生え替わるのではなかろうか。私は疑問に思う。
 今年から、自分も花粉症となり、患者さんの苦しみを自ら知った事は、私の開業医としての幅を広げた事になる。


         2015年4月1日
矢野耳鼻咽喉科院長  医学博士 矢野 潮