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第73話「哀しい別れ」

私と眷族(犬族・ケンゾク)(右から2番目がサフィー)


 私は余話で、プリンの事を何回となく書いた。プリンが一番早く我が家の家族になったからだろう。
プリンが家族になった1年後、その遊び友達としてトイプードルが我が家の一員になった。名はサフィー。

 
プリンとじゃれるサフィー
 サフィ-にはぬいぐるみのような可愛さがあり、すぐに、次女さゆり、家内のアイドルとなった。
更に翌年プリンが子供を二匹産んだ。プリンは授乳期を終わったとたん見事な迄に子離れをして、子供の面倒をまったくみなかった。
そのありさまを心優しいサフィーは見かねたのか、プリンの子供を母親代わりになって育てた。事実、自分が産んだかのようにサフィーはお乳が出た。本気で育ての親になったのだろう。
 
 プリンと遊ぶサフィー
 さて、我が家に来た時のサフィーは、人間の拳2個くらいの大きさで帽子の中に入れて自宅からクリニックにつれて行った。帽子の中にぬいぐるみを入れているようだった。
 
 不思議な一族
サフィーが2才位の時、私が海岸道路を抱きながら歩いている時、ヤンキーな若者の集団に囲まれた。
 
 帽子の中のサフィー
私は腕力には全く自信がない。一瞬ひるんだ。その内の一人が以外に丁寧な言葉で私に話しかけて来た。「抱いているのは何ですか?地面に下ろして良く見せて下さいませんか」。地面に下ろしたサフィーをなでながら、「これ、生きている犬ですか?」、笑いながら行ってしまった。サーファーの集団だった。
 お花見をしているサフィー
 
  元気だった頃のサフィー
そのサフィーが昨年の12月17日、愛する次女の胸にだかれながら、老衰(14才)で苦しむことなく息をひきとった。
さゆりは今でも自分の枕元にサフィーの遺骨を置いている。



 
         2015年11月1日
矢野耳鼻咽喉科院長  医学博士 矢野 潮