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第96話「腰痛」

 最近、腰痛、骨折等で整形外科の治療を受けている方が多いような気がする。日本社会の高齢化のためだろうか。実は私も腰痛持ちの一人だ。私が若い頃、耳鼻科医は立って診療するものだと強く教わった。立ちながら、かがんで診察する耳鼻科医には、「腰が痛くなって一人まえ」、という心ない言葉さえ与えられていた。今では耳鼻科ユニットの改良、患者さんの椅子、耳鼻科医が座る椅子も電動化して
簡単に上下するため、耳鼻科医も座位で落ち着いて診察できるようになった。
今、私は自分の腰痛を若い頃の“勲章”だと思っている。
この原稿を書いている今日、100メートルを9秒台で走った日本選手のニュースがながれていた。彼等アスリート達の超人的な運動能力は限りなく羨ましい。
我々一般人は、駅の階段、道路の僅かな段差でつまずき、転べば簡単に骨折してしまう。知人の整形外科医に聞いたところ、雪の日の翌日は転倒骨折の事故が非常に多いという。
 
そして、意外なことに自宅での転倒事故、特に風呂場での転倒骨折が多いという。病気になるのは仕方がないが、不注意による怪我は大損だ。
几帳面な人は、掃除・雑巾がけ・草むしりのやり過ぎで腰痛になる事が多いようだ。何でも適当が信条な私は、腰を犠牲にしてまで部屋の掃除をする気にはなれない。


草むしりなども必要ないと思うのだが、世間の賛同は得られない。大体私は、草花と雑草の区別さえつかない。




       2017年10月1日
矢野耳鼻咽喉科院長 医学博士 矢野 潮