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第132話「飛行機」
 コロナに奮闘する医療従事者への感謝の念として、飛行機が4機飛んだという。美しい話だ。どの位の上空を飛行したのだろう。
以下、古い話だ。
 
「東部軍管区情報 ! 東部軍管区情報 ! 」
「敵ヒトキ日本列島に接近す」太平洋戦争末期に。米軍機の襲来を国民に知らせるラジオのメッセージだ。この放送があると慌てて防空壕に避難した。爆弾の音を遠くに聞き怖かった。

 
今は平和だ。ゴルフ場でプレイをしている時に、低空を飛行機が飛んで来た。仲間とあの飛行機は上空200メーター位だろうと話しをしていたら、別の同伴競技者(私より年上)が全然違うという。あまりに自信ありげなので、何故、言い切れるのかと質問したら、彼は戦争中、B29(米軍機)を撃ち落とす高射砲部隊の部隊長であったとの事。そして、付け加えた
「富士山方面から侵入してくる米軍機には高射砲は当たらないが、爆撃が終わって、千葉県沖から帰っていく敵着には命中する事が多い。たまたま撃ち落とした米軍機から、部下がチョコレイトを見つけて、喜んで持ち帰ってきた。あれじゃ、戦争に勝てませんよ。」現場の部隊長だった人の言葉だけに重みがあった。



         2021年4月1日
矢野耳鼻咽喉科院長医学博士 矢野 潮