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    第八話 「ウサギチャン」


“カメチャン”の次は“可愛そうな兎”の話だ。知人の医師の娘が深く考えもせず子兎を飼った。しかし、その家の愛犬と兎の折り合いが悪いため、檻の中で兎を飼うことにした。
檻から外に出してもらえなかった兎は、数年後には運動不足のため、檻から出そうと思っても出せない程の肥満兎になりはてた。又、檻が冷暖房機の吹き出し口の前に置かれていたので、夏には吹きつける冷気のために冬毛がはえ、温風があたる冬は毛が抜けるという夏冬の逆転現象が兎におこった。その兎は人間の年に換算すると、150才位まで生き続けたという。
飼い主の医師は、「自然に反した冷暖房、運動不足による肥満も健康に悪いとは限らない。長生きした兎がその証拠だ」、と話していた。可哀想な兎への憐憫の情からの言い訳だろうが、医師らしくない言葉だ。
冷暖房の効きすぎ、過度の肥満は健康への大敵だ。
適度に室温を保ち、適当な水分と栄養をとり熱中症に気をつけて、元気に夏をのりきりたい。
最後に掲載する写真は、私が校医をしている亀井野小学校の生徒達に可愛がられて飼育されている兎だ。幸福そうな姿に見える。
不思議なのは、兎は目が赤いものだと思っていたが、この兎は目が赤くない。眼科校医の三井先生が兎の結膜炎を治したのだろうか?
 
          2010年7月17日
矢野耳鼻咽喉科院長  医学博士 矢野 潮