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第120話「アレルギー性鼻炎」

 アレルギー性鼻炎には、通年性(一年中)アレルギー性鼻炎と季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)の二種類に分けられる。詳しくは、病気の説明の文章をお読みいただきたい。
通年性アレルギー性鼻炎――
年間を通して増減はあるが、くしゃみ、鼻水、鼻づまりに悩まされる。
 
 
その原因はほとんどが、ホコリとダニだ。いくら、部屋の中をきれに掃除しても、ホコリは外から飛び込んで来るのだからきりがない。
 
家ダニ 
寝具を外で叩いてホコリを落としたつもりでも、布団の中のホコリは、布団のまわり飛び散るだけで、部屋の中にしまう時には又布団に付着するから、ホコリの中に寝るようなものだ。私のように、部屋の掃除もろくにせず、布団も外に干したことはない不精な人間でも、アレルギーという高級?な体質とは無関係のようだ。プリン姫(私の愛犬)は、私のベットの中でくしゃみをすることが多いが、愛犬の方が高級な体質なのだろうか。当院の女性スタッフに僕の自室の掃除をしてくれといっても、笑うばかりで返事をしてくれない。

花粉症――
その代表は杉花粉症だ。通年性アレルギー性鼻炎と花粉症を合計すると、日本人の人口の2割以上だというから驚きだ。その原因は、日本人の食文化の欧米化、花粉量の増加、排気ガスと黄砂の増加による大気汚染が原因だというが、明確なことはわからない。
 
然し、アレルギー性鼻炎の患者さんが増えたことに間違いない。
杉花粉症の患者さんは、一年おきに増減する。杉花粉の少ない年の翌年は花粉量が多いようだ。自然界の掟だろう。
花粉症の患者さんは、天気の良い日には家の中に閉じこもり、雨降りの日に外出するべきだという。なお、杉花粉症の人は、帰宅時に玄関先で、着衣から花粉を払い落としてから、家の中に入るべきだという。もっともな意見だが実行不可能だろう。どうも現実をしらない学者の意見のような気がする。アレルギーの研究をしている友人の学者を問い詰めたら、笑って何も言わなかった。返事のないのも、一つの返事だろう。
我が家のように、毛長の犬と暮らしている家ではどうにもならない。
私が花粉症だったら愛犬と散歩にも行けない。
 
部屋の掃除、マスクと眼鏡をつけての外出、乾布摩擦等による心身の鍛錬等で、花粉症の症状を軽減できるものではない。所詮、畳の上の水練だ。
花粉症は命に関わる病気ではないから、我慢して放置するという考え方もある。
然し、正当な医学では血液検査でアレルギーの原因を確かめ、抗アレルギー剤の内服、鼻内噴霧薬、花粉のエキスを注射する減感作療法減感作療法(数年間続ける)、最近行われ出した舌下免疫療法(今は未だ一般化していない)等で治療するのが、本道だろう。尚、副腎皮質ホルモン剤を注射して花粉症の症状をすっとばしてしまうのは、その重大な副作用故に、悪徳医療の最たるものといわれている。大金持ちで花粉症に悩まされている私の友人は外国に別荘を作り、花粉の時期はその別荘に避難している。






          2020年3月1日
矢野耳鼻咽喉科院長医学博士  矢野 潮